ジンバブエ・インフレーション まとめ

また知らない間にどっかのサイトにこのブログが載ったのか、アクセス数が大変な事になってました。
今回はいろいろ誤解もあるようなので、現在のジンバブエのインフレーションについておさらいしましょう。

現在この国には、外貨との交換レートが3種類あります。
・バンクレート(いわゆる公式の両替レート)
・キャッシュレート(闇両替のレート、一般生活に即したレート)
・チェックレート(RTGS)(闇両替のレート、これが話題になってるかと思われる1京%だとかのインフレ率になっているレート。生活には即していない)

まずはバンクレート。
これは、銀行に行って両替したときに通用される公式レート。公な場面ではこのレートが使われる。大使館や政府関係の組織はこのレートを使用している。ただ現実的なレート(闇両替のレート)とはかけ離れており、損をしてしまうため誰も銀行では両替しない。
現在1US$=約9000ZW$

次にキャッシュレート。
これは非公式な両替で、闇両替ディーラーに外貨の現金を渡し、ジンバブエドルを現金で受け取るという形の両替の際に適用されるレート。ただ物価は基本的にこのレートに連動している。
現在1US$=約800,000(80万)ZW$。今週の月曜日は1US$=300,000ZW$程度だったので、1週間で2倍以上に。

最後にチェックレート、またはRTGS。
これも非公式な両替で、闇両替ディーラーに外貨の現金を渡し、それ相応のジンバブエドルを小切手で受け取り、自分の口座に振り込む。
この場合、ジンバブエドルの現金を受け取ることはない。相応のジンバブエドルが口座に入るだけである。ただ現在、ほとんどの店では小切手を使えないし、銀行からおろせるお金の上限が500,000ZW$と制限されているので、口座にある金を使いきる事はほぼ不可能だと考えられる。またRTGSとは、最近まで禁止されていた取引で、昨日あたりから復活。これは闇両替ディーラーに外貨の現金を渡し、ディーラーの口座から自分の口座に振り込んでもらう取引。この場合もジンバブエドルの現金を受け取る事は無い。
現在1US$=約150quadrillion(15京)ZW$

以上3つがこの国の両替レートの詳細である。
現在、現実的に機能しているのはキャッシュレートのみである。チェックレートは上記したようにほぼ現実的ではない。15京もの現金を得る事はほぼ不可能である(最高紙幣が100万であるし、十分なキャッシュが流通していない)し、小切手を受け取ってくれる店などジンバブエにほぼ無い。銀行の1日の引き出し最高額が50万ZW$なので、15京全てを銀行から引き出すのは何日かかるのか分からない。現実の市場はキャッシュレートに連動しているので、口座にあるお金だけを考えれば、チェックレートで換金した人は皆金持ちである。ただその金全てを使う事は現実的に不可能である。だから実際はみんな金に困っている。

コーラ(1瓶) 約250,000ZW$
食パン(1斤) 約400,000ZW$
これらは街で手に入れられるものの価格であるが、このようにキャッシュレートに即した価格となっている。
現在、上記したように銀行の預金の引き出し制限があるため、一日でおろした金で買えるのはコーラ2瓶ほどである。この国の現在の最高紙幣1,000,000札でもコーラ4瓶買える程度。ただインフレは毎日進んでいるので、最高紙幣で買えるコーラの本数は毎日減っていくのみである。

最近ではスーパー等でもUS$が使える店が増えている。商売する者にとって安定して品物への対価を得れるのはUS$のみだからである。
ただ一般市民はUS$を手にする事などなかなかできない。だからこの国の格差は広がる一方なのだ。

毎日銀行には長蛇の列が出来ている。皆毎日金を引き出さないと生活できないためである。
最近の新聞にQuadrillion以降の英語での数字の数え方が掲載されてました。そらそうだよね。数え方わからないと困るもんね。

このインフレーションはとても異常である。ただジンバブエ人でない僕が現在の状況下でこのような体験を出来るのは、彼らには申し訳ないけど、とても興味深い。
このインフレの感じ、日本で住んでいる人には分かりにくいかもしれないので、質問あれば答えます。

⇒comment

Secret

経済について

某2chでここのブログが貼られていまして、興味深く読ませていただきました。
現金がない生活というのがいまいち想像を超えていまして、教えていただければと思います。
現金が市中にないのに、給料はどうやって支払われているのでしょうか?
ジンバブエドルで銀行振り込みなのでしょうか?
給料日と次の給料日前だとインフレが進んでしまって価値が無くなってしまうので日払いなのでしょうか?
預金の金利はどれくらいになっているのでしょうか?
そもそも仕事はあるのでしょうか?
お金を払える雇い主はいるのでしょうか?
いったいジンバブエの方々がどのようにお金を使っているのか想像を超えています。
お時間があるとき、また暇なときにでもつらつらと書き込んでいただければ幸いです。
お体にはお気を付けて、年が越せるようご自愛を。
コメントの部分は未読ですので読んでみます。

No title

>某2chニュー速から来た人さん
いろいろ読んで頂いたようでありがとうございます。早速質問に答えますね。
現金が街中にないと言っても、多少はあります。その絶対数が足りないだけです。一応一日の限度額分はみなおろして使えますし、それが少ない(コーラ2本分)とはいえ何かしら人々は現金をもっています。
さらに何かを売って(生活用品など)現金を得ている人たちは、それ相応の現金を持っていますし。

給料は基本的にジンバブエドルによる銀行振り込みです。どの事業者も現金で従業員の給料を支払うことは不可能です。上述した銀行引き出し限度額があるためです。
支払は、その職業によるとはおもいますが、2週間に1回か月に1回が一般的です。ジンバブエドルの価値は日々下がるのですが、雇用者側はそこまで気にしません。もらった当初はUS$で10$程度あったのに次の月には1$程度しかないというのはざらです。だから人々は給料が出たらすぐ銀行でおろし、物を買います。物の価値はジンバドルと違い不変なので。
たとえば、現在の教員の給料は2mllionZW$(キャッシュレートでUS2.5$程度)です。来月にはその価値は間違いなくUS1$をきってると思います。

預金の金利にについてですが、すいません詳しく知りません。ただそんなものが存在したところで何の足しにもならないと思います。
というのもこの国では、銀行にお金をキープするのはお金を減らすことを意味するからです。この国の銀行は他の外国の銀行同様口座維持手数料を取ります。その額は基本的にキャッシュレートに連動して変化します。さらに預金してあるお金の価値は減っていく一方ですよね。
例えば、今日銀行に1millionZW$預金し、今月の口座手数料が100,000ZW$としますね。もし次の月にキャッシュレートが10倍になっていれば、手数料は1millionZW$になってしまい、口座のお金がなくなるということがありえます。

仕事に関しては、失業率80%というのが一般的に言われている数値です。ただその数値は正しいとは言えず、その80%に含まれる多くの人は庭で育てた野菜を売ったり、どこかで買った生活必需品を転売するなどの仕事をしています。会社に雇われている人は多くはないですが、そのような形で働いてる人は多いです。

お金を払える雇い主はいます。彼らはUS$を持っていることがおおいです。
で、一般の人々の給料は数millionZW$程度。雇い主は1US$をチェックレートで換金するだけで150quadrillion(15京)程度のジンバブエドルを彼らの口座の中に手にできます。そのお金の一部を労働者の口座に振り込むだけでいいのです。現金の動きはほぼありませんが、雇用者はほとんど何の痛手もなく、労働者の給与を支払うことができます。

すいません、長くなりました。
また何かあればぜひ。

No title

ご丁寧に説明いただいてありがとうございます。
こちらから見ると、ものすごく大変そうに見えますが、経済が破綻してても何とかやっているので驚いています。
やはりお金より物の方が価値があるのですね。
土日は銀行も閉まって預金を降ろせませんから平日にお金か物を貯めておかないと大変なことになりますね。
大変なのか何とかやっているのか謎ですが

後、疑問に思うことがあるのですが、銀行から借金は出来ないのでしょうか?
借金しても金利よりインフレ率が高ければ返す時期になれば屁みたいな金額になってると思うのですが

ここのブログを読んでますと、ジンバブエの国民はおだやかで日本の昔の村的な雰囲気を感じられますので、本当にジンバブエの国民が可哀想に思えます。
ムカベ氏も高齢ですし、今はダメでも教育さえしっかりしていけば国民性が良さそうですから将来的には良くなりそう思えます。
身体には気を付けて、無理をせず、危険なところには近づかず、ほどほどに頑張って下さい。
今、なされていることは無駄にはならないと思います。

No title

>某2chニュー速から来た人さん
いえいえ、こちらこそ不明瞭な回答で申し訳なかったです。
国民が何とか生きていってるのが、僕にも不思議でなりません。彼らはなぜこのインフレの中生きていけるのかと常々思います。
彼らの中には、親戚等が外国で働いていて、そこから外貨を送ってもらいそれを換金してる人も多いようですが。
土曜日の午前中も多くの人が銀行の前に列を作っていました。国民はコーラ2本分ほどの現金を引き出すために必死です。

銀行からの借金は不可能だと思います。
詳しくは知りませんが、銀行もそこまで馬鹿じゃないと思います。金を融資しても、その額面だけ回収しても意味はないですから。
さらに外資の銀行(Barklays等)も多いので、そのへんはきちんと管理されてるかと思います。

教育なんですが、昔は教育レベルが高くほとんどの人が英語を話します。その辺をうろついてる浮浪者でさえです。
ただ最近は、このようなインフレの状況なので、学校の先生のスト(給与は一定で数か月に一度しか見直されない。たとえばある月に給料が決まって、次の月にはその金額の価値は半分以下になりえる)は多く、ストしてなくても先生は朝から銀行に並び、学校は開店休業状態です。このような状況では教育の質は低くなる一方です。
現代の子供の将来が不安です。

本当にジンバブエ人は穏やかで優しい人々です。他国なら紛争になってもおかしくない状況なのに、何も起こりません。
彼らが不憫でなりません。

コメントありがとうございました。

また銭湯行こーぜ

No title

>きづ
おう、せやな。帰ったら銭湯また行くか。ってかなんやねん急に

エボラ出血熱は流行ってないん?

No title

>山辺
それはさすがに流行ってないなあ

No title

こちらからは、実質レート位しか判らなかったので、疑問だらけだったのですが、詳しい解説のおかげで一気に氷解しました。ありがとうございます。
お札をする紙の供給が止まったニュースが日本で流れていたので、完全に供給元が無くなっている訳では無いだろうと思っていたのですが、厳しそうですね…
遠く離れた日本に居る身としては、どうしても話のネタになってしまうのですが、いつか立ち直って、逆の意味でネタとして笑える日が来ればとおもいます。
情報ありがとうございます。

No title

>sisya
このような稚拙な説明で理解していただき、ありがとうございます。
現状はかなり悲惨なもので、毎日のレートと物価の上昇は驚くべきものがあります。
紙幣の紙は、過去にはドイツ?から輸入していたようですがEUの経済制裁の一環で止められたようですが、その後は中国から紙を輸入しているようです。
ただその紙幣の質はとても低く、かなりの数の偽札が横行しているようです。それもまたハイパーインフレの一助になってるのかもしれません。
まあ現地人もインフレのひどさには笑うしかないようで。こっちでもネタ的にインフレの話してますよ。彼らの生活は間違いなく厳しいでしょうが。
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Author:oniko
ここでジンバブエという国を知ってください。



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